広東省を代表する烏龍茶の一つ、鳳凰単叢について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。
鳳凰単叢の特徴
- 鳳凰単叢(ほうおうたんそう / Feng huang dan cong)
華やかでフルーティーな香りが特徴のお茶。蜜蘭香、黄枝香、芝蘭香、通天香など茶樹によって個性的な香りを持つ。香りの種類は非常に豊富で、その多くは十大香型に分類される。
元々は一株毎に製茶していたことから「単叢」という名がついた。
形状 | 葉は黒みがかった緑色で 細長く揉捻されている |
水色 | ややオレンジがかった 黄金色 |
香り | フルーティーで 華やかな香り |
味わい | 芳醇で爽やか、 キレのある渋味 |
鳳凰単叢の産地
- 広東省潮州市鳳凰山、烏崠山一帯
広東省の東部に位置し、亜熱帯海洋性気候に属する地域。茶樹の生育に適した環境であることから、明確な休眠期が無く四季を通じて収穫される。
標高によって低山、中山、高山に分けられる。高山のものほど高品質。
- 低山:海抜400m以下
- 中山:海抜400~700m
- 高山:海抜700m以上
鳳凰鎮は海抜200〜400m
11月頃に収穫される冬茶は「雪片」と呼ばれ、春茶とは違った風味を楽しめる。
海抜 | 400~1000m前後 |
年間平均気温 | 21.4℃、海洋性気候 |
年間平均降雨量 | 1700~1800mm前後 |
土壌 | 黄色土、紅土 |
鳳凰単叢の歴史・逸話
- 宋代末期、モンゴル軍から逃れようと南方へ向かっていた祥興帝が、途中の烏崠山で農民から差し出された茶で喉の渇きを癒したことから、その茶を「宋茶」と呼ぶようになった。宋茶は後に「宋種」と呼ばれ広く栽培されるようになり現在に至る。
- 別名 「烏嘴茶」とも。由来は「喉が渇いた皇帝のために、鳳凰が茶樹の枝を咥えて飛んできた」という伝説が元になっている。
- 『潮州府志』によると、鳳凰単叢は南宋末年から栽培されており、900年以上の歴史がある。
- 清代の同治、光緒年間、鳳凰山において単一の樹木から収穫した茶葉を製造、販売する「単叢茶」が出現したことから「鳳凰単叢」と名付けられた。
- アメリカのニクソン元大統領も鳳凰単叢の味わいを称賛したという。
- 鳳凰単叢の産地、潮州では独自の茶文化が発展し「潮州工夫茶」と呼ばれている。