お茶やコーヒーに含まれるカフェイン。眠気覚ましや集中力アップの効果がある身近な存在ですが、過剰摂取すると中毒症状になってしまう・・・という話も有名です。
また、妊娠中や授乳中の場合はカフェインを控えるように・・・とよく聞きますが、それはなぜなのか?カフェインは妊婦や乳児にどんな影響を及ぼすのか?
気になったので調べてみました。
カフェインとは何か
カフェインとは、コーヒーやカカオなど60種類以上の植物に含まれる天然成分のことで、覚醒作用や鎮痛作用、利尿作用が特徴。
眠気覚ましとしてエナジードリンク等に配合されることが多いですが、風邪薬や鎮痛剤に使われることもあります。
お茶の味わいとしては苦みのもとになります
カフェインを含む飲み物や食品
カフェインを含む飲み物として一般的に知られているのはコーヒーやお茶。その他にもココア、コーラや栄養ドリンクなどの飲料や、チョコレートなどにもカフェインが含まれています。
緑茶、中国茶、紅茶などカメリア・シネンシスから作られるすべてのお茶にはカフェインが含まれています。
麦茶やルイボスティーなどカメリア・シネンシス以外の原料から作られている茶外茶はカフェインを含みません。
コーヒーやお茶のカフェイン含有量一覧
浸出液 | カフェイン含有量 (100mLあたり) | 備考(浸出方法) |
コーヒー | 60mg | コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL |
紅茶 | 30mg | 茶5 g、熱湯360 mL、1.5~4 分 |
せん茶 | 20mg | 茶10 g、90℃430 mL、1 分 |
ほうじ茶 | 20mg | 茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
ウーロン茶 | 20mg | 茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
玄米茶 | 10mg | 茶15 g、90℃650 mL、0.5 分 |
カフェインの効果
カフェインの代表的な効果はこちら。
- 覚醒作用
交感神経に作用し興奮させる。計算力、記憶力の向上、集中力アップ、疲労の抑制、眠気解消などの効果が期待できます。
- 利尿作用
尿の量が増え、むくみ改善に効果的です。
- 脂肪燃焼作用
カフェインを含むお茶を飲んでから運動すると、効率よく脂肪を燃焼させることができます。それはカフェインが中性脂肪を分解し、遊離脂肪酸として血液に放出、エネルギーとして利用されるためです。
運動する20~30分前に緑茶や紅茶などのカフェインを含むお茶を飲むと効果的だそうです
また、カフェインがアルコールの代謝を高めることもできるため二日酔い解消にも有効です。
カフェインの副作用
カフェインの代表的な副作用は、不眠、めまいなどが挙げられます。
また、過剰に摂取するとカフェイン中毒となり、胃痛、吐き気、動悸、筋肉の痙攣などを引き起こし最悪の場合(ごく稀に)死に至ることがあります。
カフェイン1日あたり摂取量の目安
メリットも多いカフェインですが過剰摂取による副作用も気になるところ。身体に悪影響のない範囲で楽しみたいカフェイン、1日あたりの摂取量目安は以下の通りです。
妊娠中の女性の場合でも、例えばカフェイン含有量20mg/100mLの烏龍茶なら、一日最大1000mL飲んでも悪影響はないと考えられているということですね。
がぶ飲みさえしなければそこまで気にしなくてもいいのかも・・・?
妊娠中や授乳中はカフェインを控えるべき?
妊娠中や授乳中の方もカフェインを完全に遮断する必要はありません。しかし、それでも妊娠中や授乳中はカフェインは控えた方がいいという話をよく聞きますよね。
その理由はカフェインを摂取することで妊婦や胎児に対してマイナスの作用を引き起こす可能性があるといわれているためです。
妊娠中の影響
カフェインを大量に摂ると血管が収縮して胎盤への血流が悪くなり、胎児に酸素や栄養が届きにくくなる可能性があります。
授乳中の影響
赤ちゃんが母乳を介してカフェインを大量に摂取すると、興奮してなかなか寝付けなかったり睡眠障害に繋がる可能性があります。
妊婦や乳児はカフェインが身体に残る時間が長い
妊婦や乳児に関して一つ気になるのは、カフェインが身体の中に残る時間の長さ。
摂取したカフェインは体内で代謝され尿と一緒に体外へ排出されます。一般成人の血中カフェインの半減期は、平均すると約4時間といわれています。(ただし個人差が大きく、2~8時間程度の幅があります)
カフェインで夜眠れなくなる人は
夕食後に飲むのは控えた方がよさそう
一方、妊娠中の女性は、カフェインの半減期が6~16時間!
正常時と比べると3倍以上も長い時間カフェインが体内にとどまり効果が維持されてしまいます。
また、カフェインは胎盤関門を簡単に通過してしまうため、胎児にも作用することになります。胎児は薬物代謝酵素がほとんど働かないため、高濃度のカフェインに長時間さらされてしまうことになるのです。
カフェインの半減期は、出産後4~15週を経過すると通常レベルの2~8時間に短縮されます。
しかしカフェインは乳腺関門を通過するため母乳育児をしている場合、母親が摂取したカフェインは微量ではあるものの母乳を経て乳児の体内にも移行することになります。
コーヒーから摂取されるカフェイン量が1日あたり150mgの場合、出生後4日~19週の乳児におけるカフェイン用量は0.03および0.2mg/kgになると推定されている
栗原 久 日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-
新生児も胎児と同様に代謝酵素がほぼゼロであるため、カフェインの半減期は50~103時間ほどかかるとされています。(出生後3~14ヶ月は14時間、5~16ヶ月は 2~3 時間に短縮)
お茶やコーヒーを一日に何度も飲んでると身体はずっとカフェインの影響を受け続けることになってしまうのですね
妊娠中や授乳中とはいえどもカフェインを気にしすぎる必要はありませんが、カフェインが身体の中に留まる時間が平常時よりもずっと長くなるという点は頭の片隅にでも置いておいた方がいいかもしれません。
カフェインを抑えながらお茶をおいしく楽しむ方法
妊娠中や授乳中はアルコールや生ものなど気を付けなければいけないことが多く神経質になりがち。リラックスタイムにせめてお茶くらいは飲みたい!ですよね。
コーヒーなら安心のデカフェ。お茶もカフェインゼロのペットボトル飲料がありますが。
お茶はやっぱり茶葉から飲みたい!!というときに。カフェインを抑えながらおいしく方法をご紹介します。
家でカフェインの少ない緑茶を作る方法、それはズバリ・・・
低い温度で淹れる!!
カフェインは熱湯に溶出しやすい特徴があります。85℃以上の熱湯で1分ほど蒸らすと茶葉に含まれるカフェインの71%が溶出するという実験結果も。
つまり、お茶に含まれるカフェインを減らしたい場合は80℃以下の低めの温度で淹れればよいのです。例えば60℃のお湯を使えば、カフェイン溶出度は50%以下に抑えることができます。
低い温度で淹れる場合に使う茶葉は、うま味成分の多い日本茶や白茶がおすすめです。もちろん紅茶や烏龍茶で淹れることもできますが、どうしてもぼやけたような中途半端な味わいになってしまいます。
カフェインレスのお茶を美味しく飲めるオススメの方法は「水抽出法」で作る冷茶!
これだけ!冷たい氷水を使うことでカフェイン以外の含有成分のみを抽出することができ、苦味のすくないまろやかな味わいを楽しむことができます。
がぶ飲みしたいときは、水出し冷茶。たくさん作っておけば、あとは注ぐだけで手軽に飲めるので便利です。
カフェインと長く付き合っていくコツ
カフェインは眠気覚ましや集中力向上など忙しい現代を生きる私たちに嬉しい効能がありますが、過剰に摂取してしまうと中毒症状など副作用が出てしまう可能性もあります。
そんなカフェインと末永く付き合っていくためのコツ
- 一日の適量を守る
お茶だけに限りませんが、何事も適量が大事。短時間に過剰摂取してしまうとカフェイン中毒になる恐れがあるため、一日の摂取量目安は守るのが賢明です。
- お菓子などをつまみながら飲む
空腹時にお茶を飲むと胃腸への負担が大きくなり、人によっては胃痛を引き起こすことも。特にお茶は消化を促進するため、お菓子等をつまんで胃をからっぽにしないように注意するといいでしょう。
私は純粋にお茶の味だけを楽しむために長年何も食べずにお茶だけ飲むってことを続けていたところ、すっかりカフェインに弱くなってしまいました。。。
- “休茶日”を作る
コーヒーやお茶以外にもチョコレート等で知らず知らずのうちにカフェインを摂取していることも。身体を休ませる、という意味で週に1日程度カフェインを含むコーヒーやお茶を控える日を設けてもいいかもしれません。
- 妊娠中や授乳中の場合は飲む時間を決める
妊娠中や授乳中はカフェインが身体の中に留まる時間が平常時よりもずっと長くなります。可能であれば、一日一回と時間を決めて飲むようにするとより安心です。
- 授乳中の場合は授乳後がオススメ
カフェインを摂取してから15分~120分が血中カフェイン濃度のピークになります。コーヒーやお茶を飲んでから次の授乳までの時間が長く空けることで赤ちゃんへの影響を最小限に抑えることができるため、飲むなら授乳直後がおすすめです。
カフェインとうまく付き合って美味しいお茶ライフを末永く楽しんでいきたいですね