かわいい茶器も中国茶の魅力の一つ!うっかり沼にハマると大変です(笑)ここでは中国茶を楽しむ際によく使う茶器について、選び方や使い方も併せて紹介していきます。
2019/6/4 茶巾の項目を追記しました
マグカップ
中国茶の“普段飲み”には欠かせない!
一番手軽に使えるのは、マグカップ!これさえ一つあればいつでも簡単にお茶が楽しめます。
直接茶葉と熱湯を入れて、さし湯をしながら飲みます。
場合によっては最初、細かい茶葉が浮いていて飲みにくいことがありますが、茶葉はお湯を含むにつれて次第に沈んでいきます。
浮いていて邪魔な茶葉は息を吹きかけて、マグカップの奥の方に避けながら楽しんでください。 詳しくはこちら↓
蓋碗(ガイワン)
どんなお茶にも使える万能な茶器!困ったときは、この蓋碗で!
蓋碗(ガイワン)は、中国茶特有の器で、どんなお茶にも使える万能な茶器。困ったときは、蓋碗で!
慣れるまでは少し使いにくいかもしれませんが、非常に便利な器です。
お茶を蒸らしている途中でも、フタを開けて水色の様子を確認できるので、味の濃さを自分好みに調整することができます。
また、紫砂壺のように香りを吸収することは無いので、お茶の香りをダイレクトに感じるのに向いています。
蓋碗の選び方
蓋碗を選ぶ際の、注目ポイントは以下3点です。
- 素材:磁器やガラスがポピュラーですが、磁器がオススメです。
- 厚さ:器は薄手が良いとされています。※薄手だと、器に吸収される熱が少ないので、お湯の熱が効率よく茶葉に届き、香りがより一層引き立ち、キレのあるお茶になります。
- 形:碗のフチが外に大きく反っている方が、持ちやすく、指が触れる部分も熱くなりにくいです。
蓋碗の使い方
2通りの使い方があります。どちらの使い方も、蓋碗の中にお湯を入れ過ぎると熱くて持てなくなるので要注意です。
- 湯のみとしての使い方:ふたを少しずらして茶葉を押さえながら直接口を付けて飲みます。
- 急須としての使い方:まず、ふたを少しだけずらして茶葉を押さえます。蓋のてっぺんを人差し指で、碗の縁を親指と中指で押さえて持ちます。そのまま傾けてお茶だけ外に出します。
↑湯のみとしての蓋碗の使い方。両手で蓋碗を持ち上げ、蓋で茶葉を押さえながら飲む
↑蓋の裏に残るお茶の香りを楽しむこともできる
↑直接飲む場合、男性は下皿を持たず片手で蓋を押さえながら飲むとかっこいい。
↑蓋碗を急須として使う場合の一般的な持ち方。熱湯や湯気で火傷しないように注意。
茶壺(チャフー)
大切に使ってじっくり育てる楽しみも。お気に入りを一つ、見つけてみていください。
急須です。
中国茶は何煎も繰り返し楽しむため、日本の急須よりもだいぶ小ぶりのものが多いです。陶器、磁器、ガラスと様々な素材で作られ個性豊かなのが魅力。
一番有名なのは、中国の江蘇省宜興市で作られる「紫砂壺」です。
この紫砂壺は”育てる”楽しみがあります。数年という長い期間使い続けていると、茶壺にだんだんと茶葉の油分がついて美しい艶や照りが出てきます。
こうして一つの茶壺を愛用して色艶を良くすることを「養壺(ヤンフー)」といいます。
また、紫砂壺は茶葉の香りを吸収する働きがあるため、茶葉の銘柄毎に茶壺を使い分ける愛好家も多いです。少なくとも、青茶と黒茶では茶壺使い分けたほうが無難かもしれません。
茶壺の選び方
質の良い茶壺を見極める4つのポイントを紹介します。
- 「三点平」:注ぎ口、蓋口、取っ手の高さが同じ(高低差が5ミリ以内)であること
- 「三山斉」:注ぎ口、蓋口、取っ手を結ぶラインが一直線になること=お茶をきれいに注ぐことができる
- 密封性:フタと本体がぴったりと合うこと、フタの穴を塞いで傾けても注ぎ口から水が出ないこと=お茶の香りを逃がさない
- 水切れ:注ぎ口から水がぽたぽた垂れたり、しぶきが撥ねたりせず、スムーズにすーっと出てくること
気に入った茶壺を見つけたら、実際に水を入れて問題ないかをお店で確認してから購入するのがベストです。まれに、水が漏れてくるものもあるので、水を入れた状態で数分程度置かせてもらうと良いです。
素材ごとの特徴
茶壺は炻器、(陶器)、磁器、ガラスなど様々な素材で作られたものがあり、それぞれ特徴が異なります。
- 炻器製:高温キープしやすい、烏龍茶などに◎
- ガラス製:やや熱を逃がしやすい、緑茶、白茶などに◎
- 磁器:保温効能は陶器とガラスの中間くらい、どんなお茶にも◎
茶壺の使い方
- 親指と中指で取っ手を掴んで、茶壺を持ち上げる
- 人差し指で軽くフタを押さえる
熱湯を注いだ後の茶壺(とくに紫砂壺)は、か・な・り熱くなっているので、フタを押さえる人差し指は要注意です。私は指の腹ではなく、爪の先を当てるようにしています。
茶壺を使うとき利き手の人差し指が深爪だとちょっと辛いかも(笑)
- お茶を淹れている間、注ぎ口はお客様の方には向けないようにします。誰もいない方、または自分の方へ向けるのが中国茶のマナーです。
茶海(ちゃかい)
何気に、必需品。ピッチャーです。
公道杯ともいいます。蓋碗や茶壺で淹れたお茶を注ぎ分けるためのピッチャーです。
茶壺や蓋碗で淹れたお茶を一旦茶海に移すことで、飲杯に注ぐ前に味の濃さを均一にすることができます。
陶器製、磁器製、ガラス製など様々な素材があります。
茶海の選び方
- 大きさ:一緒に使う茶壺や蓋碗よりも、容量が大きいものを選びます。お茶は必ず一煎ずつ注ぎ切ることで、何煎も繰り返し美味しく飲めるようになります。
- 素材:磁器やガラスがポピュラーです。一緒に使う茶器と雰囲気の相性が良い物を選ぶと良いと思います。ガラス製の場合は、水色を観察するのに便利です。
- 水切れ:注ぎ口の水切れが良いのがオススメです。お茶がポタポタ垂れると使いにくいので。
茶海の使い方
- 茶壺や蓋碗で適度に抽出したお茶を茶海へ、可能な限り全て注ぎ切ります。※中にお茶が残ったままになると、次の煎で渋味が出やすくなってしまいます。
- 茶海から、左から右の順番で飲杯へ均等にお茶を注ぎます。※注ぐ量は飲杯の七分目までが良いとされています。
- お茶を淹れている間、注ぎ口はお客様の方には向けないようにします。誰もいない方、または自分の方へ向けるのが中国茶のマナーです。
茶杯(ちゃはい)
飲杯(いんはい)、品茗杯(ひんめいはい)とも言います。中国茶を飲むときに使う器、湯呑みです。
蓋碗や茶壺のサイズも小ぶりなので、飲杯も小ぶりです。
青茶を飲む時、香りを楽しむための「聞香杯(もんこうはい)」とセットで楽しむのも人気です。
茶杯の選び方
「小・浅・白・薄」に当てはまる飲杯が良いものとされています。
- 「小」:掌中央に収まるくらいのサイズ。お茶を三口で飲み干せる大きさが理想です。(下記「使い方」参照)
- 「浅」:底が平で、お茶が飲杯の底に残らないような形のものです。
- 「白」:お茶の水色が分かりやすいものです。
- 「薄」:薄手の方が、お茶の香りが立ちやすくなります。
上記に加えて、個人的には「飲杯の縁がすこし外に向かって開いているもの」も好きです。
飲杯の口当たりの違いによって、不思議とお茶の味も変わってきます。直接口に触れる飲杯・・・こだわるのも一興です。
茶杯の使い方
もちろん、どんな持ち方でもOKです。が、ここでは本場の中国茶芸での持ち方をご紹介します。
- 「三龍護鼎(さんりゅうごてい)」:親指と人差し指で飲杯の縁をはさんで、中指を飲杯の底に当てて持ちます。薬指と小指は飲杯には触れず、自然に丸めます。玉を持つ龍のイメージで。
茶盤
茶器をのせるお盆。中国茶はこの茶盤の上で茶器にお湯をかけるので、茶盤の下にお湯がたまる構造になっています。(完全な箱型タイプか、ホースでつなげてバケツに流すタイプが主流。)
素材も、竹製、陶器製、木製、ステンレス製・・・と様々。
オススメは竹製!一番風情があるし耐久性もあります。ただし、値段は高めですが・・・
手入れのしやすさではステンレス製もなかなか、です。ちょっと現代的でオシャレなカフェみたいな雰囲気になります。
茶盤の選び方
茶盤は、材質によって使い勝手が結構変わるので、好みに合わせて選んでみてください。
- 竹製:耐水性があり、軽くて比較的丈夫。風格があり、様々な茶器に合わせやすい。持ち運びも便利。ただし、やや高価。
- 木製:一般的に安価。軽くて持ち運びやすいが、茶渋が落ちにくいので汚れやすい。長く使ってると継ぎ目が避けてくるものも…。
- 陶器製:安価で初心者向き。水洗いもできるので手入れがしやすい。しかし、重い。茶器を乗せると摩擦音がちょっと気になるかも?
- ステンレス製:安価で初心者向き。水洗いもできるので手入れがしやすい。実用性>風格。中国のお茶屋さんはたいがい使ってる。
- 石製:高価。風格は抜群だが、ひたすら重たいので持ち運びは不可能。据え置きタイプ。
質の良い茶盤を選ぶポイントは、以下の通りです。
- (全材質共通)面が平らであること
- (全材質共通)つなぎ目がしっかりしていること(特に底板の角など)=水がもれないように
- (竹製・木製)面の穴(隙間)が大きすぎないこと=穴が大きいと小さな茶器(特に飲杯)を置きにくい
- (竹製・木製)フタや底板にしっかりした厚みがあること=熱湯をかけ続けると歪むことがあるため
茶盤の使い方
使い終わったら、すぐに溜まった水を捨て、乾いた布などできれいに拭きます。水気が残ったままだと、水垢になります。それがお茶だと茶渋で汚れてしまいます。
特に、竹製や木製のものは傷みやすいので丁寧なお手入れが大切です。
水盂(すいう)
日本茶道でいうところの「建水」です。
茶器を温めたお湯や茶葉などを捨てておくための(平たく言えば)ゴミ箱のようなもの。
基本的には茶盤の代用として使います。茶盤と併用することも可能です。
陶器製や磁器製があります。
電壺(デンフー):湯沸かし器/電気ケトルなど
電気ケトルは中国語で電壺(デンフー)
香りを引き立たせるために、熱湯を使う中国茶では必須アイテムとも言えます。
IHや電熱器で沸かすものやアルコールランプを使うものが一般的です。
ただし、アルコールランプは場所によっては使用が禁止されている場合もあるのでお茶会などイベントで使えるかどうかは事前に確認が必要です。
また、電気ポットの場合、沸かす際の電圧が高いものは要注意です。特にイベント等で複数同時に使う場合、会場のキャパシティによってはブレーカーが落ちる可能性があります。
電壺(電気ケトル)選び方
- アルコールランプの場合は、アルコールの交換や清掃が簡単なものを選びます。
- 電気ケトルの場合は、目安としては900W以下のものが使いやすいです。(有名なラッセルホブスは約1250W。自宅など、1台ずつ使う分には全く問題ないです)
電壺(電気ケトル)の使い方
新品のにおいが気になる場合は、使用する前に一度お湯を沸かしてしばらく置いておくと、においがとれます。
- お茶を淹れている間、注ぎ口はお客様の方には向けないようにします。誰もいない方、または自分の方へ向けるのが中国茶のマナーです。
茶荷(ちゃか)
使う分の茶葉を取り出しておく器です。
茶壺に茶葉をこぼさず入れられるように、口の部分が細くなっています。お茶を淹れる前、乾燥した状態の茶葉を鑑賞することもできます。
磁器、竹、木、石など様々な素材のものが使われます。
茶荷の「荷」は蓮の花という意味。器の形を蓮の花をイメージしたことが語源だとか。
茶荷の選び方
口の部分が少しすぼんでいるものが、茶葉を茶壺に入れやすいのでオススメです。茶荷の形は浅く広いものの方が茶葉の鑑賞に適しています。
茶荷の使い方
茶則を使って、茶筒から茶葉をやさしく取り出し、鑑賞しやすいようにふんわりと茶荷の上に乗せます。茶匙を使って、茶荷から茶壺や蓋碗に茶葉を入れます。
茶道組(さどうぐみ)
これがあるだけで中国茶らしさが倍増します(笑) あると便利な道具がセットになっています。
- 茶則(ちゃそく):茶葉を袋から取り出す時などに使います
- 茶挟(ちゃばさみ):飲杯や大きな茶葉を挟むトングです
- 茶匙(ちゃさじ):茶葉をかき出す時などに使います
- 茶針(ちゃしん):茶壺の出口に茶葉が詰まったときなどに使います
- 茶漏斗(ちゃろうと):口の小さい茶壺などに乗せて、茶葉をこぼさずに入れる漏斗です
茶托(ちゃたく)
茶杯をのせるコースターです。いろんなデザインがあってかわいいです。木製、竹製、プラスチック製など素材も様々。
茶托の使い方
使用後はシミが残らないようにすぐに水洗いします。特に木製や竹製のものは風通しの良いところでしっかり乾燥させます。
濾網(ルーワン):茶こし
必ずしも必要なアイテムではありませんが、紅茶など茶葉が比較的細かいお茶を淹れる時は役に立ちます。茶漉しと茶漉し台はセットになってると美しいです。
濾網(茶こし)の選び方
様々な素材がありますが、ステンレス製が洗いやすく使い勝手も良いのでオススメです。
濾網(茶こし)の使い方
茶海の上に乗せて使います。使わない時は、茶漉し台の上に戻します。
茶筒
茶葉を保存しておくための容器です。磁器、陶器、鉄、錫で作られたものが一般的です。
茶筒の選び方
密閉性、遮光性が良く、異臭の無いことを確認します。ジャスミン茶など香りの強い茶葉には磁器や錫が適しています。
一方、長期熟成させるようなプーアル茶を保存する際には、竹製や陶器など通気性の良いものもオススメです。
茶筒の使い方
新品の茶筒は、素材のにおいが残っている場合があります。
気になるようであれば使い始める前に、砕いた茶葉を少量入れてフタをした状態で2日ほど置いておくと、茶葉がにおいを吸収してくれます。におい取りに使った茶葉を捨て、中をきれいにしてから茶葉を入れて保存します。
茶筒は、直射日光やにおいの強いものを避け、湿気の無い冷暗所に保管します。茶葉を取り出した後は、すぐにフタをして湿気を防ぎます。
茶巾(ちゃきん)
茶器専用の正方形のふきんです。お茶を淹れる際、濡れてしまった茶器の水分をふき取る時に使います。素材は綿や麻など、やや厚手のものが多いです。
茶巾の選び方
茶巾を選ぶ時の主なポイントはこちらの2点です。
- 吸水性が高く、繊維(毛羽)が抜け落ちにくいもの
- 茶巾の色は茶色や紺色など濃い色のもの
茶巾の色が白や水色など薄い色だと拭き取ったお茶のシミが目立ってしまうため、あまり望ましくはありません。
茶巾のたたみ方
茶巾のたたみ方は主に三折法と畳被法の2通りあります。
どちらの方法で使うかは、テーブルの大きさや用途などに合わせて自分が使いやすい方を選びます。
- 三折法
茶巾を三つ折りにする方法です。面積が大きく使いやすいのが特徴。
三折法の場合は一般的に、茶巾は淹れ手の手元に据え置く形で、茶器を手元に持ってきて茶巾の上に置き、器の底の水分をふき取るような使い方をします。
三折法のたたみ方
- 茶巾を広げ、手前の部分を上から約三分の一の部分まで折り上げる
- 上の部分を(1)の上にかぶせるように折り重ねる
- 折り畳んだ茶巾を持ち上げ、茶巾の端が下に隠れるように裏返す
- 上からは茶巾の輪の部分が見える状態で手元に置く
- 畳被法
仕上がりの形が布団を折り畳んだ状態に似ていることからこの呼び方になったそうです。
畳被法のたたみ方
- 三つ折りにするところまでは三折法と同じ
- 右側を中央に向かって折り曲げる(※)
- 左側も同様に(※)
- 左右を合わせるようにしてさらに二つ折りにする
- 折り目を自分の方に向けて完成
※中央部分は少し隙間を開けておくと形を整えやすいです
畳被法は三折法と比べて茶巾の面積が小さくなるため、茶席上で目立たせたくない時に便利。
片手で茶巾を持って茶器を拭くことができます。また、茶海から茶杯へお茶を注ぐ際、茶巾で茶海の底を支えながら注ぐと、お茶が垂れ落ちるのを防ぐことができます。
茶巾の使い方
茶巾は手元に置いておき、気が付いた時にいつでも使えるようにしておきます。
テーブルにこぼれたお茶をふき取る際に使うこともできますが、可能であれば茶器用とテーブル拭き用はそれぞれ別の茶巾を用意するのが理想です。
使い終わったらすぐに洗って干し、清潔さを保つようにします。