私が東京で中国茶教室に通っていた時の日記を再編成した備忘録シリーズです。今回は第二弾。
以下、当時の日記から抜粋です
お茶を美味しく淹れるための基本
茶芸教室、2回目のレッスン。今回私が淹れたのは龍井茶。緑茶。
3煎淹れたけど、最後まであんまり。。。狙いたい味の濃さを出すことが出来なかった。
先生に教えてもらったポイントを箇条書きで。
◎茶葉を多めに入れること
→後になってから少なすぎると思っても、継ぎ足し調整はマズくなるだけなので不可。多めに入れすぎてしまった場合は、勇気を出して茶葉を捨てて調整できる。
◎水色で濃さを見ること
→私はまだまだ時間で見ていた。色が狙ったところまで濃くなったかどうかを良く見ること。
・ムダな動きをしないこと
→茶芸を優雅に見せようと、大げさな動きをすることがあるけど、それは不要。
・ホームポジションでひじを高く上げすぎないこと
→全体に動きが硬くなり、淹れるお茶も硬くなる
・お湯を注ぐときに、蓋碗の中の茶葉をたたかない
→雑味、苦味につながる
・視線を先に動かさない。茶器や自分の指先を丁寧に見ること
→視線が手元を離れると、雑な印象になる
あとは、お茶を口に含んだときにすぐにお茶の甘みを感じられたらいいなぁと思ったけど、
それが出来なかった。
トップに高い香りや味を持ってくるための方法は、高い温度で、短時間で、淹れること。
コツとしては、蓋碗ならばフタで“お湯をまぜること”。フタを深めに入れて、手首のスナップをきかせてクイっとまわす。
このフタで蓋碗の中のお湯をまぜるときに注意しなければならないのは、茶葉をこすらないようにすること。茶葉をこすると、苦味、雑味につながる。
待ち遠しくてたまらないお茶
この2回目のレッスンで一緒だったもう一人の生徒Aさんは、レベルがとても高かった。
淹れてくれたのは安渓鉄観音。福建の烏龍茶。
これがすごかった。きっとこのお茶も、このお茶を淹れていたAさんも、アドバイスしていた先生も、みんなすごかった。
合計で3回、3種類の茶器で淹れた。
どんな茶器で?どんな風にお湯を注ぐ?抽出時間は?とかとか・・・どうやったらこの鉄観音をよりおいしく淹れられるかを、すごく考えながらだった。
1煎目:茶器は、蓋碗で。おいしい。だけど少し薄かったのかな。ほのかな甘みがあった。
2煎目:茶器は、紫砂壺で。渋くなった。ざらざらした、とげとげした感じ。しかし決してマズイなんてことはなくて、私は十分おいしく飲めると思った。
3煎目:茶器は、鮮やかな陶器の茶壺で。すごくキレイな茶壺だった。茶葉がよく広がるように、少なめにいれて。お湯も、優しく注いで。
その茶壺を扱う動きはとてもしなやかで。どんな味がするんだろう・・・って、すごく楽しみだった。じらされている感じ。エサを目の前に「待て」をされている犬みたい。こうして注いでもらっている間も、本当に待ち遠しかった。
こんなに待ち遠しい気持ちになるのはきっと、Aさんの茶芸が美しいから。さらに、Aさんのお茶がおいしいことを知っているから。
だからこんなに惹きつけられてしまう。
そうやって淹れてくれた3煎目。
・・・すごくおいしかった。甘い。まぁ~るい。渋味や雑味がなく、透き通っている。飲み込んだ後も、食道に味わいが残る感じ。そして、口の中にいつまでもほのかな甘みが残る感じ。
今回実感したのは、同じ茶葉でも、使う茶器や淹れ方によって、こんなにも味わいが変わるんだ、ということ。
すごかった。
本当に、すごかった。
私にはまだまだ分からないことばかり。遠い遠い先にあるんだろうけど、いつか自分もこんなお茶が淹れられるようになりたいと思った。
早く飲みたくてウズウズするような、魅力的なお茶を。。。
当時を振り返って今思うこと
人を惹きつける茶芸の条件
茶芸は言ってしまえばただお茶を淹れるだけの所作なのに、淹れる人によってはその動き一つ一つに釘付けになってしまうことがあります。まばたきするのを忘れてしまうくらい、見入ってしまう。
そんな人を惹きつける茶芸の条件は2つ。
- お茶を淹れる所作が美しいこと
- その茶芸で淹れたお茶がおいしいこと
でも先生曰く、実はその視線を引き付ける所作にはちょっとした“仕掛け”があったのでした。
私がその種明かしを教えてもらえたのはまだまだ先の話・・・