香港ガイドブックでおなじみの老舗陶磁器工房「粵東磁廠」へ行ってきました。
そこでお気に入りの飲杯を発見!
それは2014年に香港のオークションで日本円にして36億円で落札された明成化闘彩鶏缸杯のレプリカでした。
粵東磁廠はこんな場所
粵東磁廠(ユッドンチーチョン)は1928年創業の老舗陶磁器工房!
MTR九龍湾(カオルーンベイ)駅から徒歩10分くらいの場所なのですが、『九龍湾工業中心』ビルという工業エリアの倉庫ビル内にあるお店なのでたどり着くまで何回か不安になります(笑)
完全に業務用のエレベーター。部外者お断りっぽい雰囲気ですが一般人も問題なく入れるのでご安心を。
店舗は3階にあります。
ここの凄いのが手描きの絵皿が山のよう!!
見渡す限りの食器の山!山!山!!
絵付師さんの作業場も。
店内は足元までひたすら食器が置いてあるので貴重品以外の大きな荷物とかはお店の外に置いておくのが無難。ほんと狭いので。
私が掘り出した戦利品!
1960年代にこの工房で作られた手描きの器。普段の食事用に( *´艸`)
こちらは1950年代の湯呑。香港ではなく中国国内で製造されたものだそうです。
そして一番のお気に入り。
三代目の店主さんが店の奥から持ってきてくれた飲杯がバツグンに美しくてひとめぼれ!
《明成化闘彩鶏缸杯》のレプリカだそうです。
お気に入りポイントは地の色と薄さと軽さと、光にかざした時の透き通り具合。
店主さんもこのレプリカの来歴は分からないって言ってたけど底の畳付の汚れ具合を見ると最近のものではなさそうな感じ?わかんないけど・・・(笑)
「このシリーズは他にもありますか?」と夫に聞いてもらったところ、店主さんが同じ柄の蓋碗と片口も持ってきてくれたけど、この二つは全く心に響かなかった(笑)
店主さんもこれは安物だって言ってたし(笑)
飲杯は別格な気がする!(※素人目線で)
《明成化闘彩鶏缸杯》とは
《明成化闘彩鶏缸杯》とは、明朝の成化帝(在位1465~87年)の時代に皇帝御用酒杯として作られたもの。鶏の親子が鮮やかな色彩によって生き生きと描かれています。
通称「チキンカップ」!
2014年に香港で開かれたオークションで上海の大富豪・劉益謙氏が3605万ドル(約36億7200万円)で落札したと!!これは中国製の磁器としては史上最高値だそうで。
劉氏はタクシーの運転手から一代で財を成した投資家!すごい・・・!
私たちがオークションで落札されたものを見ることができませんが、北京故宮博物館や台北故宮博物館にも所蔵されているとのこと。特に、台北故宮博物館には同じものが常設展示されているそうです。
いつか見てみたい!
鶏の親子の図案自体は宋の時代からあったようですが磁器に描かれるようになったのは明の成化年代以降。
書画を嗜んでいた成化皇帝が宋代の《子母鶏図》に感銘を受けて当時の官窯であった景徳鎮窯に作らせるようになったという逸話があります。
子母鶏図は台北故宮博物館で見れる!
競うような美しさを誇る「闘彩」
《明成化闘彩鶏缸杯》の最大の特徴である闘彩(とうさい)。
まず青花で下絵を描く、釉薬(ゆうやく)をかけて約1300℃で焼き、その後再び赤、黄色、緑の色を重ね、低温焼成で完成させるという手間のかかる製造工程が特徴。
カラフルな色彩が美しい
日本では「豆彩(とうさい)」や「五彩磁(ごさいじ)」とも呼ばれており、東京国立博物館には明代成化年間の《豆彩龍文壺》や明代万暦年製の《五彩龍鳳文面盆》が所蔵されています。(常設展示ではなさそう)
闘彩の技法は、明成化年代初期に誕生したものの、技術的にとても難しく、品質の良いものはなかなか出来なかったそうです。また、皇帝への献上品であったためか、失敗作は割って処分していたためその希少価値が高くなっているとのこと。
明代以降、清代から現代に至るまでの各時代において明成化闘彩鶏缸杯のレプリカは作られ続けてきています。
私が今回ゲットしたレプリカはいつの時代のものなんだろう・・・と思いを馳せると夢広がります( *´艸`)