代表的な中国緑茶の一つである安吉白茶について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。
安吉白茶の特徴
- 安吉白茶(あんきつはくちゃ / an ji bai cha)
白茶という名がついているが、分類としては緑茶。美しい茶葉と飲みやすい味わいが人気。
アミノ酸が豊富で、甘みや旨みを感じやすいのが特徴。1970年代から開発され始めた新しいお茶。
形状 | 細長くやや平たい、白い産毛がある |
水色 | 透明感のある若葉色 |
香り | 「淡竹積雪」と形容される爽やかで清涼感のある香り |
味わい | 甘みがありまろやかで爽やかな味わい |
安吉白茶の産地
- 浙江省湖州市安吉県
安吉県の茶畑は山間にあり、昼夜の温度差が大きく切りも多いため、茶の育成には適した場所として古くからの茶産地として知られてきた。竹の産地としても有名。
海抜 | 400m以上、竹林多く山岳起伏 |
年間平均気温 | 15.6℃ |
年間平均降雨量 | 1600mm |
土壌 | 肥沃、やし色 |
安吉白茶の歴史・逸話
- 1979年に安吉県で発見された野生茶樹を母木として開発されてきた新しいお茶。1990年代後半から市場で高く評価されるようになり、国際的な銘茶コンテストで1999年以降3回連続で金賞を受賞した。
- 宋代の徽宗帝趙佶が著した『大観茶論』等に出てくる「(安吉の)白茶」は現代のものとは異なる。
- 春先の低温時に突然変異を起こした茶樹の芽で葉緑素の形成が減少し、通常よりも葉が白くなったことから白茶と呼ばれるようになったという。
- アミノ酸含有量が5~10.6%と、他の緑茶の2~4倍も豊富に含んでいる。
- 茶樹品種は「白葉1号」。
- 近年、安吉白茶の茶葉を使って新しいお茶を作る試みがなされている。揉捻を加えて鉄観音のように丸めた緑茶を「玉観音」、紅茶は「吉祥紅」、烏龍茶(岩茶タイプ)は「岩如玉」など。
- 同じ産地の「安吉白片」とは別のお茶。
安吉白茶を飲んでみた感想
安吉白茶を実際に飲んでみた感想です。
2020年春(中国茶専門店A)
国内に実店舗のある中国茶専門店Aのオンラインショップで購入しました。比較的リーズナブルに入手できるのが魅力です。
総評
4.1点
- 味わい:透明感とやわらかな甘みを感じる
- 香り:青のりのような旨味を感じる
苦味:
渋味:
※苦味と渋味は少ないと5(高評価)
甘味:
コク:
香り:
- 外形:葉が内側に丸まって針のように細長い、茶殻は葉が白がかっている
- 水色:透明感のある明るい黄緑色
- 気づいたこと:この安吉白茶は、お湯をゆっくり注いで味に深みを出す方向性が私好み
蓋碗を使った感想
- 日付:2020年7月4日
- 茶器:蓋碗
- 茶葉の量:3.8g
- 湯温:90~95℃程度(沸騰させたケトルから直接注ぐ)
- 湯量:170ml
- 一煎目■淹れ方:沸騰させたケトルのお湯を使って、茶葉全体になじむようにゆっくり注いだ。30秒ほど待ってから抽出。
■香り:緑茶らしい爽やかでフレッシュな香り。ほんのり香ばしさも感じる。
■味わい:まず甘味がくる。透明感がある。身体が軽くなるような感覚。このお茶を飲んでいる自分に酔う心地よさ。
- 二煎目■淹れ方:一煎目よりも、お湯の動きを細くゆっくり注いだ。40秒ほど蒸らしてから抽出。
■味わい:透明感はそのまま、深みとコクが出た。高温キープして淹れることができたのでキレもある。後からほんのり渋味が来る
- 三煎目■淹れ方:二煎目よりも、お湯の動きをさらに細くゆっくり注いだ。私の中で最上級にゆっくり優しく。1分以上待ってから抽出。
■味わい:とろみとツヤが出た。透明なまあるい珠を口に含むような感覚。密度が高い。
中国茶専門店Aの安吉白茶(2020年春)は、透明感に加えてそう快感もあって、身体が軽くなるような心地よさを味わうことができました。
値段もお手頃でコスパも抜群。控えめに言って最高です。
2020年春(中国茶専門店B)
都内に実店舗のある中国茶専門店Bの安吉白茶です。
総評
3.9点
- 味わい:甘味とも旨味ととれるまあるい味わい、艶が口の中に広がって心地よい
- 香り:やや湿り気のある香り、香ばしさも感じる。持続性が高く3煎目もしっかり香る
苦味:
渋味:
甘味:
コク:
立体感:
香り:
※苦味と渋味は少ないと5(高評価)
- 外形:葉が内側に丸まって針のように細長い、カラッとした印象、やや黄色い部分もある。茶殻は葉が白がかっている
- 水色:ほぼ透明。かすかに黄緑色
- 気づいたこと:繊細で上品。安定感がある。高温キープでしっかり香る
蓋碗を使った感想
- 日付:2020年8月6日
- 茶器:蓋碗
- 茶葉の量:3.3g
- 湯温:90~95℃程度(沸騰させたケトルから直接注ぐ)
- 湯量:170ml
- 一煎目■淹れ方:沸騰させたケトルのお湯を使って、茶葉全体になじむまではゆっくり、後半はお湯がキラキラする速度で注いだ。40秒ほど待ってから抽出。
■香り:茶葉の見た目と違って案外湿り気のある香り。ほんのり香ばしさも感じる。
■味わい:まず甘い。その甘味がずっと後まで口の中に残る。艶のある球体を口に含んだような感覚が心地よい。
- 二煎目■淹れ方:一煎目と同じように注いだ。蓋碗のフタで茶葉を少し回した。30秒ほど蒸らしてから抽出。
■味わい:一煎目と同じような印象。やっぱり最初にドンと甘みがくる。後味はややべたつく。舌と上あごがくっつくような感じ。
- 三煎目■淹れ方:お湯を注ぐ位置は一点集中で、勢いつけて速く注ぎ、フタで茶葉を回した。30秒ほど待ってから抽出。
■香り:香ばしさが残っている。
■味わい:甘味は抜けて艶だけが口の中に広がりスッと消える。後味はほのかに渋味、ややべたつく。
中国茶専門店Bの安吉白茶には力強さと安定感がありました。
二煎目と三煎目でお湯の注ぎ方を変えてもお茶の雰囲気はあまり変わりませんでした。香りも三煎目までしっかり持続するのがすごい。