先日お迎えした萬古焼の急須作家・山本広己氏の『紅泥後手急須』の紹介と、これを機に調べた萬古焼について簡単にまとめています。
衝動買いした急須
先日訪れた香港・銅鑼湾(コーズウェイベイ)の「新星茶荘」にて偶然見つけて一目惚れし、連れて帰ってきてしまった急須!!
こちら!!!
急須作家・山本広己氏の『紅泥後手急須』です。
まずコロンとしたまあるい形がかわいい。そして何よりも目を引いたのが、艶!!!写真だと分かりにくいかもですが、とにかくつやっつやで美しいのです。
木箱も含め風格があってかっこいいなぁ~と思っていたら、なんと40年も前に作られた作品だとか!!
サイズはめちゃくちゃ小さいです。私の掌にすとんと乗っかってしまうほど。容量は約90ml、ちょうど飲杯一杯分のお茶が入ります。
一人飲みに便利!
先日見つけた明成化闘彩鶏紅杯のレプリカとセットで。
こじんまりしてるのでパソコンの脇に置いても邪魔にならない!
たまらん!!!
深めの小皿に合わせれば、急須にお湯をかけて養壺もできる!かわいい!!
急須作家・山本広己氏について
三重県四日市市を拠点に活動していらっしゃる萬古焼の有名な急須作家さん。土にこだわりながら日常使いに適した急須作品を製作されています。
今回の急須を購入するタイミングでは気づいていなかったのですが、なんと私、山本広己氏が書かれた「急須の話」という冊子を持っていたのでした!
びっくり!
急須の形や種類、使い方などが詳しく紹介されているのでお茶好きさんは必見の一冊です。愛がある。
萬古焼について
萬古焼は、伊勢 (三重県) 桑名の商人沼浪弄山が江戸時代に創始したといわれ、現在は三重県四日市市の代表的な地場産業として伝統工芸品に指定されています。
分類としては陶器と磁器の間の性質を持つ半磁器(炻器/せっき)にあたるのだとか。
炻器とは
炻器(せっき)は半磁器とも呼ばれます。半磁器をわかりやすく言うと、土生地の半分は磁器土(石)、もう半分は陶土(土)。
その特徴は土味があって温かみが感じられますが、たたくと金属のような軽い音がします。吸水性もほとんどないため、お茶など熱いものに使っても生地にしみ込んでいくことはありません。
萬古焼の他にも、常滑焼、備前焼、信楽焼などがあります。
直火OKの土鍋!!
萬古焼の代表的な製品は350℃以上の直火OKという耐熱性に優れた土鍋で、国内の生産シェアは80~90%を占めるほど。
最近ではIH対応の土鍋も開発されてるとか!
直火にかけても割れない仕組み
物質は普通、熱をかけると膨張します。陶磁器を加熱したときに熱のかかり方が均一にならないと、膨張する速度に差が出てしまい、その部分がひび割れてしまうのです。
萬古焼で開発された耐熱陶土は、ペタライト(葉長石)という熱膨張の低い原料を40~50%配合することによって、熱をかけても器が膨張しにくい特徴を持っています。
ペタライトの産地はジンバブエやブラジル!
また、萬古焼で作られる陶器製の土鍋は加熱すると遠赤外線が放出されるため、食材を効率よく温めることができるそうです。そして一度温めると冷めにくい。
萬古焼の急須
萬古焼急須のシンボルは紫泥の急須。
鉄分を含む地元の赤土粘土(赤萬古土)を使用し、約1200℃で還元焼成された炻器。釉薬をかけない焼き締まった色は緑茶によく合います。 そして使うほどに艶と深みが出てくる!
中国江蘇省宜興市の紫砂壺と同じだ
三重県工業研究所窯業研究室の実験結果によると、炻器の急須で淹れたお茶は渋み成分が低減されることが判明。美味しく飲める!
そういえばブレケル・オスカルさんも
炻器の急須をオススメしてましたね
↑ほうろくとしても使える急須とか革新的
おまけ:四日市ばんこまつり
萬古焼の祭典「四日市ばんこまつり」!!
毎年5月の第2週末に開催されるイベンで、土鍋などの器がお値打ち価格で売り出されるとか!
いつか行ってやるぞー!
萬古焼については「よくわかる四日市萬古焼読本」(外部リンク/PDF)がとても分かりやすかったです。