春という季節の特徴
中国の古書「黄帝内経素問」によると、春は「発陳(はっちん)」といいます。「発」ははじまり、「陳」は古いもの、つまり、古いものから抜け出すという意味です。
冬を二十四節気に分けると、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨まで6つの節気があります。気温の上昇と共に陽気も増し、地に眠っていた虫や動物が目覚め、草木が芽生える季節です。
また、五行の相対表で言うと、春の気は「風」、舞い上がりやすい性質があります。
寒暖差も激しく、気圧の変動も大きいため外邪が侵入しやすく体調を崩しやすくなります。
『黄帝内経 素問』より
春は「発陳」
春陽上昇ともに潜気発散し、天地の間に万物みな発生する
春にいたわりたい臓腑
肝!!
肝の働きは主に3つ
- 「血」を蓄える
- 「気血」の分配(疏泄)
- 情緒のコントロール
春になり陽気が満ちてくると、この肝の気が動き始めます。
春に起こりやすい症状
人の身体も季節の影響を受けて陽気が増してきます。のびやかな気分、新しいことを始めたくなるような前向きな気持ちになったり。
ただし、この陽気をうまく発散できず、肝に気が滞ると様々な不調となって表れてきます。
レベル1:肝に気が滞る
具体的な症状例はこちら↓
- 楽しくない
- 物事に集中できない
- やる気が起きない
- なんでも悪い方に考える
- 自分を否定しがち
- ためいきをつく
- ずっとだるい
- 不安や心配が頭から離れない
- いつも緊張して張りつめている
- 食欲がない、過飲・過食しがち
- よく眠れない
レベル2:滞った気が熱を持つ
具体的な症状例はこちら↓
- イライラして胸苦しい
- 口が渇いて冷たいものが飲みたい
- 頭痛がする
- 相手の態度にむかっとしてケンカになった(普段とは違って)
レベル3:熱のため血や津液が不足し、肝気が上昇する
具体的な症状例はこちら↓
- めまいや動悸がある
- 急に激しく起こる。頭がクラクラすることも
- 寝つきが悪い
レベル4:憂鬱が続き心気まで消耗してしまう
具体的な症状例はこちら↓
- ぼうっと気が抜けたようになり、生あくびが出る
- ちょっとしたことで悲しくなり、落ち込み、ヒステリーっぽく泣き叫ぶ
レベル5:思い悩みすぎて脾と心の働きが弱くなる
具体的な症状例はこちら↓
- くよくよと思い悩む
- おどおどとしておびえやすい
- 不眠で物忘れもしやすい
春を元気に乗り切るために
春の養生のポイント
春は芽吹きの季節、人の気持ちも自然と前向きになります。その気持ちが向くままに行動するのが良い春の過ごし方です。
- 早起きをして朝日を浴びるようにする
- 気温の差が激しいため薄着はひかえ体温調節しやすい服装を選ぶ。特に下半身を冷やさないように気を付ける
- 意欲的に行動し、散歩など身体を動かして気を発散させる
春の養生に役立つ食材
春は特に肝を養う食事で気の巡りを安定させることが大事であるそうです。
■「利気」:気を巡らせる食材
柑橘類、ジャスミン、ミント、レモングラス、紫蘇、わさび、生姜、玉ねぎ、ネギ、春菊など
■「清肝」:肝の熱を冷やす
セロリ、パパイヤ、イチゴ、ミント など
■「平肝」:肝気の過剰な上昇を予防
クラゲ、セロリ、菊花、貝類 など
■「補血」:肝血を蓄える
ほうれん草、小松菜、ニンジン、レバー、いか、タコ、牡蠣、まぐろ、鶏卵、黒ゴマ、黒豆 など
■「健脾」:脾の機能を高め、肝の影響を受けない土台作り
穀物類、豆類、甘みのある野菜(さつまいも、かぼちゃなど) など
春にオススメのツボ
春にオススメの中国茶
春には、豊かな香りで気を巡らせる花茶がおすすめです。春の眠気も覚ましてくれるかも。
- 茉莉花茶:緑茶にジャスミンの香り
- 菊花茶:菊の花(ノンカフェイン)
- 桂花烏龍茶:烏龍茶にキンモクセイの香り
- ライチ紅茶:紅茶にライチの香り
など