じめじめ梅雨は湿気によって、頭痛、むくみ、下痢、全身のだるさ、食欲不振など身体にさまざまな不調が起こりやすい時期です。その原因は、外部からの湿気によって脾胃の機能が弱ってしまうため。
梅雨を元気に乗り切るためには、 身体の余分な湿気を取り除き新陳代謝を促進する役割を持つ食材やツボを活用し、養生することが効果的です。このページでは、梅雨の時期に起こりがちな身体の不調とその対応策を、中医学や薬膳の観点からまとめています。
梅雨という季節の特徴
- 陽気が盛んになるが、陰気もまだ衰えない
日本の梅雨は6月頃からで、陰陽学説の季節は夏、陽が極まる時期に差し掛かります。本来ならば陰と陽は相関関係にあるので、陽が盛んな時期は陰が衰えます。しかし日本の梅雨は雨が多いため陰が衰え切らない点が特徴的です。
陽が盛んになり自然界も私たちの身体も温かくなってきますが、同時に冷えもあるため注意が必要になります。
- 湿が多くなる
五行説では、梅雨は「土」に属します。日々降り注ぐ雨水が土を潤し、植物や農作物を育む季節です。同時に、長雨によって湿気が強くなるため、私たちの身体にも湿が溜まりやすくなります。
梅雨にいたわりたい臓腑
脾!!
脾の働きは主に3つあります。
- 運化(うんか)作用:飲食物の消化吸収、栄養を作り全身へ運搬する。津液の運搬も司る。
- 昇清(しょうせい)作用:小腸で吸収した栄養や津液を身体の上へ持ち上げる。内臓下垂を防ぐ。
- 統血(とうけつ)作用:血が脈の外に溢れるのを防ぐ。脾が弱ると出血しやすくなる
脾の働きが弱まると、身体に必要な栄養分が十分に行き届かなくなりさまざまな不調が生じます。
- 運化作用の低下⇒栄養や津液の停滞
- 昇清作用の低下⇒気や栄養が上半身へ届かなくなり、眠くなったりする
- 統血作用の低下⇒体外に血が漏れ出す。月経過多、血尿、皮下出血など
梅雨の時期には、脾胃は長雨による湿の影響を受けやすくなるため、湿を取り除く食材などを取り入れて養生するのが大事です。
梅雨に起こりやすい症状
梅雨の時期は湿邪が私たちの身体に悪い影響を及ぼし、抵抗力が弱まることで病気や体調不良の原因になります。具体的な症状例は以下の通りです。
- 身体がだるくなる
- 頭痛
- 胃もたれ、食欲不振
- めまい
- 関節痛、腰痛
湿邪とは、湿気を持つ邪気のこと。梅雨や夏など湿気の多い季節や環境下で影響を受けやすくなります。湿には濁りと粘りの性質があり、体内に侵入すると経絡や臓腑を流れる気血水の流れを滞らせてしまいます。そのため、身体に湿をためこまない工夫をすることが大事です。
梅雨を元気に乗り切るために
蒸し暑いからといって、冷たいもの、生もの、アルコールを取りすぎると脾胃の機能が弱まってしまいます。部屋の風通しを良くして、必要以上に思い悩むことを控え、気分転換をすることも大切です。
梅雨の時期にオススメの食材は、小豆。水分代謝を整えてむくみを改善したり、利尿作用が高いため梅雨の湿気による体のだるさの緩和にも効果的です。
また、辛味のある食材は気を巡らせることで、体の中の余分な湿を飛ばしてくれる効果もあります。
梅雨の養生に役立つ食材
他にも梅雨の養生に役立つ食材はたくさんあります。積極的に摂ることで、湿気に負けない軽やかな体でじめじめした梅雨を元気に乗り切りたいですね。
■「補益健脾」:脾胃の機能を補い消化吸収を促進する
かぼちゃ、トマト、穀類、芋類、豆類、椎茸、貝柱、なつめ、など
■「辛温発散」:発汗することで湿を取り除く
生姜、ネギ、紫蘇、香菜(パクチー)、ハッカ、など
■「芳香化湿」:香りで気の巡りを改善し食欲増進させる
レモンなどの柑橘類、ジャスミン、香菜、山椒、など
■「利尿滲湿」:利用作用で余分な湿を排泄する
冬瓜、金針菜、はと麦、小豆、豆類、あさり、お茶、など