台湾の代表的な烏龍茶のひとつ、東方美人を品種別に飲み比べてみました!
東方美人とは
東方美人(とうほうびじん)とは、台湾を代表する烏龍茶のひとつ。発酵度は高めで紅茶に似たような華やかな香りと味わいを楽しめるお茶です。
今回飲み比べる5種類の東方美人
今回飲み比べる5種類の東方美人はこちら。すべて日本国内で購入しました。
- 青心烏龍(2019年春・茶農家A)
- 台茶12号(2019年春・茶農家A)
- 白毛侯(2019年春・茶農家A)
- 慢種(2019年春・茶農家A)
- 青心大冇(2016年・茶農家B)
飲み比べ条件
今回の飲み比べ条件は以下の通りです。
- 茶器:蓋碗
- 茶葉の量:5g
- お湯の量:130ml
- お湯の温度:98℃前後
- 抽出時間:約45秒
- 飲み方:1、2、3煎目を熱い状態で飲む。しばらく放置した1煎目を飲む
熱い状態は、茶杯に入った時70℃以下
冷めた状態は、茶杯に入った時に約36℃
水はサントリー天然水南アルプスを使いました。湯沸かしは普通のステンレス電気ケトルを使用。
東方美人(青心烏龍)
青心烏龍という品種でつくられた東方美人。青心烏龍は台湾で最も普及している品種で栽培の歴史も長い。坪林石碇エリアで生産される東方美人のメイン品種。蘭や金木犀のような花香が出やすいのが特徴。
茶葉と香り
- 茶葉:茶葉の大きさは標準的で均一。白毛の量もぼちぼち。濃い色、明るい色も同じくらい混ざってる
- 香り:トップにふんわり甘い香り。毛の甘さ。落ち着くと少し枯葉のような香り。
味わい
1煎目 | みゅーんとした甘みを上あごに感じる。 香りと同じ。渋み雑味はない。 けど立体感に欠けてちょっと水っぽい。 |
2煎目 | 甘味が消えた。やっぱり水っぽい。 舌の上に残る後味にややざらつきがある |
3煎目 | 甘味もないし、渋みや雑味も消えた。 水ではない艶のようなものは感じるけど 味はほとんどない。 |
1煎目 (冷めたもの) | 甘味が残ってる。でも口の中に まとわりつくざらつきもある。 |
茶殻
- 三煎淹れ終わった後の茶殻:しっかり開いてる。やわらかい。全体的に均一。赤みが強い
水色比較
熱い状態の3煎目と、ぬるくなった1煎目の色の比較。三煎目、色は出てるのに味がしないの不思議。
飲んでみた感想
香りも味わいも、東方美人らしいふんわりとした甘さがあった。
東方美人(台茶12号)
台茶12号という品種でつくられた東方美人。台茶12号とは、いわゆる金萱(キンセン)種で、台湾での作付け面積は年々増加している。
この台茶12号だけを使ってつくられる東方美人は珍しいとのこと。
茶葉と香り
- 茶葉:全体的に茶葉が小さい、白毛はやや少なめ、色も黒め
- 香り:甘さ控えめ。枯葉の積もった柔らかい土のこんもりしたイメージ。東方美人らしさもある。
味わい
1煎目 | 香りにない甘さがある。 飲み終わった後も口の中に じんわり甘味が残る。でも時間が 経つと水っぽいざらつきがでてくる。 |
2煎目 | 一煎目の時の甘みは無くなった。 かといって渋味などもなく 飲みやすいけどこれといった印象がない。 |
3煎目 | 甘味が少し戻ったような 気がするけど全体的にみずっぽい。 |
1煎目 (冷めたもの) | 甘さはあまり感じず とにかく水っぽい |
茶殻
- 三煎淹れ終わった後の茶殻:葉はややかため、ほのかに青みが残ってる。縁がギザギザしてる
水色比較
熱い状態の3煎目と、ぬるくなった1煎目の色の比較。右側の1煎目の色はだいぶ抜けて薄くなっている。
飲んでみた感想
香りも味わいもこんもりこもったようなイメージ。ひかえめ。
東方美人(白毛侯)
白毛侯という品種でつくられた東方美人。白毛侯は、坪林や南港などの古くから続く茶区を中心に栽培されているものの、収量が少ない品種。白毫(白い産毛)が多いのが特徴。
茶葉と香り
- 茶葉:さすが名前の通り白毛が多い、茶葉全体的に色が明るい茶色め
- 香り:意外と甘味は感じない。白茶のようなまろやかさ
味わい
1煎目 | 甘味と艶がある、雑味なし、 水っぽさもあまり感じない。 おいしい。 |
2煎目 | 甘味と艶を維持している。 後味は水っぽくなる。 |
3煎目 | 甘味はおちるけど全体的には 二煎目とあまり変わらない印象 |
1煎目 (冷めたもの) | そこまで甘味は感じない、 みずっぽい。 |
茶殻
- 三煎淹れ終わった後の茶殻:全体的に明るいえんじ色。茶葉は小ぶりでやわらかい
水色比較
熱い状態の3煎目と、ぬるくなった1煎目の色の比較。右側の1煎目の色はそこまで変わらなかった
飲んでみた感想
素直においしいと感じた。白毫(産毛)が多いからか、なんとなく白茶に似たような甘みを感じた。
東方美人(慢種)
慢種という品種でつくられた東方美人。慢種は白毫が多いため東方美人にはよく使われる品種だとか。「梨子気」という品種独特の香りがある。
茶葉と香り
- 茶葉:茶葉が大きい、太めの茎もある。撚りがあまいのもある。密度が低い
- 香り:甘味はないけど力強い香り、枯葉よりももう少し青っぽい
味わい
1煎目 | 両ほっぺの内側に強く感じる 不思議な甘みがある。 後味にも甘みが残るがややべたつく。 |
2煎目 | 1煎目で感じた甘さはなくなった。 雑味やべたつき、みずっぽさは あまり感じない |
3煎目 | ほのかに甘味が残りつやを感じる。 みずっぽさはあまりない。 |
1煎目 (冷めたもの) | 一瞬甘味を感じるけど みずっぽくざらつきがある。 |
茶殻
- 三煎淹れ終わった後の茶殻:全体的に茶葉が大きい、やわらかい、ほんのり青みがある
水色比較
熱い状態の3煎目と、ぬるくなった1煎目の色の比較。右側の1煎目の色はほとんど変色していない。
飲んでみた感想
1煎目は力強さと不思議な甘さがあったが、2煎目以降は甘さが抜けてスッキリした印象。
東方美人(青心大冇)
青心大冇(チンシンダーモウ)という品種で作られた東方美人。台湾の新竹、苗栗エリアで生産される東方美人のメイン品種が青心大冇。
茶葉と香り
- 茶葉:全体的に深みのある褐色。しわしわしてる
- 香り:色気のあるマダムのにおい。リンゴをおもわせる果実のさわやかな甘み
味わい
1煎目 | ややキュンとする甘みが 口の中に広がってすっと消える |
2煎目 | 1煎目の甘みは弱くなったものの すっと吹き抜ける切れがある |
3煎目 | ほんのりつやが残る。 みずっぽさはあまり感じない |
1煎目 (冷めたもの) | ややみずっぽいけど まろやかな印象 |
茶殻
水色比較
熱い状態の3煎目と、ぬるくなった1煎目の色の比較。右側の1煎目の色はほとんど変色していない。
飲んでみた感想
高貴な香りを感じた。味わいも甘みと深みがあり、水っぽさをあまり感じなかった。
まとめ
茶葉
水色
茶殻
感想
- 個人的には、青心大冇が一番おいしく感じた
- 他の品種もそれぞれ特徴はあったものの、味も香りもややパンチに欠けて物足りない
- 茶葉はもっと多めに使って味を濃く出した方がおいしく飲めると思う(一回6~7gくらい)
東方美人はやっぱり青心大冇!
※あくまで個人の感想です