中国茶の一つである緑茶について、生産エリアや代表的な銘茶、美味しく楽しむ方法などをまとめています。
中国緑茶とは?
茶葉もお茶の水色も緑色なので、緑茶。発酵させていないので、”不発酵茶”と呼ばれる。(発酵度0%)
中国の歴史の中で一番最初に登場したのが緑茶。
唐の時代にはすでに蒸す製造方法が確立されていて、それが日本に伝えられた。その後、明の時代、中国では新たに釜で炒る製造方法が発明され、その製法が現在でも中国緑茶の主流となっている。
さらに分類すると、緑茶は、殺青および乾燥工程の違いにより、炒青緑茶、烘青緑茶、晒青緑茶、蒸青緑茶に分類される。
緑茶は中国で最大の生産量を誇る。中国で生産される茶葉全体のうち約70%は緑茶。
主な生産地は、浙江省、江蘇省、安徽省、江西省、湖北省、湖南省、貴州省。
中国緑茶の楽しみ方
手軽に飲みたいときは・・・
緑茶のステキな特徴で、茶葉の形がとってもキレイです。ぜひ耐熱性のグラスに直接茶葉をお湯を注いで、さし湯をしながら飲んでみてください。グラスの下に沈んだ茶葉が草原みたいに揺れて目で見ても楽しめます。
丁寧に飲みたいときは・・・
蓋碗がオススメ。うぶ毛が多い茶葉にもちゃんとお湯がなじむように。茶葉を刺激しないように、ゆっくり、優しくお湯を注いでください。お湯で茶葉をたたいてしまうと苦味や雑味が出やすくなります。
裏ワザ・・・!
紫砂壺で淹れてみるのもオススメです。熱湯使ってさっと出すと、すごくスッキリした味わいになります。疲れた時に気分スッキリ!
中国緑茶の生産エリア
代表的な生産地は、浙江省、江蘇省、安徽省、江西省、湖北省、湖南省、貴州省。
中国緑茶の製造工程
- 摘採(てきさい/ツァイジャイ):茶葉を摘み取る。一般向けの茶葉は機械を使って刈り取ることが多いが、緑茶は、特に明前茶など高級茶は人力による手摘みが多い。
- 殺青(さっせい/シャーチン):茶葉に熱を加えて、酸化酵素の働きを止めると同時に、水分を蒸発させて茶葉を柔らかくし揉捻しやすい状態にする。緑茶はこの殺青方法の違いによって、「炒青緑茶」「烘青緑茶」「蒸青緑茶」の3種類に分類される。
- 揉捻(じゅうねん/ロウニエン):機械や手を使って茶葉を揉んで形を整える。
- 乾燥(かんそう/ガンザオ):茶葉を乾燥させる工程。緑茶の場合は、先に烘乾をした後に炒乾をすることが多い。また、天日干しで乾燥させたものは「晒青緑茶」と呼ばれる。
代表的な中国緑茶の種類
安吉白茶
- 安吉白茶(あんきつはくちゃ / an ji bai cha)
安吉白茶は、白茶という名がついているが、分類としては緑茶。美しい茶葉と飲みやすい味わいが人気。アミノ酸が豊富で、甘みや旨みを感じやすいのが特徴。
恩施玉露
- 恩施玉露(おんしぎょくろ / en shi yu lu)
恩施玉露は殺青時に蒸す製法で作られる蒸青緑茶。釜で炒る炒青緑茶が主流の現代中国では珍しい製法のお茶。主な産地は湖北省恩施市五峰山一帯。
開化龍頂
- 開化龍頂(かいかりゅうちょう / kai hua long ding)
開化龍頂は浙江省開化県の緑茶。開化県での茶葉生産の歴史は古く、清の光緒年間には海外へも輸出されていた。その当時の伝統的な製法は一度衰退してしまったが、中華人民共和国建国以降の研究開発の末に復興された。
峨眉竹葉青
- 峨眉竹葉青(がびちくようせい / e mei zhu ye qing)
峨眉竹葉青は四川省楽山市峨眉山の緑茶。海抜800~1200mの高山で生産されている。
徑山茶
- 徑山茶(けいざんちゃ / jing shan cha)
徑山茶は1200年余りの歴史ある古刹・徑山寺とゆかりがあり、浙江省で最も古くから作られている緑茶とされている。主な産地は浙江省杭州市余杭長楽鎮徑山村。
貢羽茶
- 貢羽茶(こううちゃ / gong yu cha)
貢羽茶の主な産地は湖北省恩施市宜恩県一帯。
黄山毛峰
- 黄山毛峰(こうざんもうほう / huang shan mao fong)
黄山毛峰は世界遺産となっている観光名所の黄山地区で生産されるお茶。長い歴史を持ち、伝統的中国十代銘茶に数えられる。
江山緑牡丹
- 江山緑牡丹(こうざんりょくぼたん / jiang shan lv mu dan)
江山緑牡丹の主な産地は浙江省江山市江山県保安郷龍渓。通常の散茶の他にも、茶葉を糸でつなぎ合わせた工芸茶もある。
顧渚紫笋
- 顧渚紫笋(こしょしじゅん / gu zhu zi sun)
顧渚紫笋は陸羽の『茶経』の中でも“茶中”第一と評されるほど歴史が古く、唐代広徳年間以降には皇帝への献上茶となっていた。主な産地は浙江省湖州市長興県顧渚山。
昌臣緑針
- 昌臣緑針(しょうしんりょくしん / chang chen lv zhen)
昌臣緑針の主な産地は湖北省恩施市宜恩県、万寨郷、伍家台一帯。セレンを豊富に含むのが特徴。
紫陽毛尖
- 紫陽毛尖(しようもうせん / zi yang mao jian)
紫陽毛尖は歴史の古い緑茶で、前漢時代には貿易商品として流通していたとか。主な産地は陝西省安康市紫陽県一帯。
信香茗
- 信香茗(しんこうめい / xin xiang ming)
信香茗の主な産地は湖北省恩施市巴東県一帯。
西湖龍井
- 西湖龍井(せいこロンジン / Xi hu long jing)
西湖龍井は伝統的な中国十大銘茶の一つ。日本茶でいう”静岡茶”のような存在。「中国の緑茶といえば龍井茶!」
大佛龍井
- 大佛龍井(だいふつロンジン / da fo long jing)
大佛龍井の主な産地は浙江省紹興市新昌県。1980年代から新昌県の銘茶として開発が始まり1990年代に完成した新しいお茶。
洞庭碧螺春
- 洞庭碧螺春(どうていへきらしゅん / ピルチュン / dong ding bi luo chun)
洞庭碧螺春は、色が青緑(碧色)で、巻貝のような形(螺)をしていて、春に採れるお茶という意味。明前が最も良いとされている。とても軽いので、500gの碧螺春を作るのに6~7万個の芽茶が必要になる。
太平猴魁
- 太平猴魁(たいへいこうかい / tai4 ping2 hou2 kui2)
太平猴魁は、黄山毛峰と並ぶ安徽省の銘茶。5~7cmと非常に大きく平たい豪快な茶葉が特徴。その見た目に反して、香りも味わいは上品で飲みやすい。耐熱グラスで飲むと美しい茶葉の姿も楽しめる。
南京雨花茶
- 南京雨花茶(なんきんうかちゃ / nan jing yu hua cha)
南京雨花茶は1958年の中華人民共和国設立十周年を機に研究開発された新品種の緑茶。主な産地は江蘇省南京市中山陵と南京雨花台風景名勝区一帯。
武当道茶
- 武当道茶(ぶとうどうちゃ / wu dangdao cha)
武当道茶は古くから武当山の道観(道教の寺)で栽培されいたという道教と関連の深い緑茶。主な産地は湖北省十堰市丹江口市境内武当山。
蒙頂甘露
- 蒙頂甘露(もうちょうかんろ / 露meng ding gan lu)
蒙頂甘露の主な産地は四川省雅安市蒙山、蒙顶山。中国で最も古いお茶の一つ。
六安瓜片
- 六安瓜片(ろくあんかへん / Liu an gua pian)
伝統的な中国十代銘茶の一つ。中国緑茶は、柔らかい芽を多く使っているものほど高品質なお茶であると評価されるのが一般的だが、この六安瓜片は芽を使わず葉の部分のみを摘み取り製造される。
廬山雲霧
- 廬山雲霧(ろざんうんむ / lu shan yun wu)
廬山雲霧は伝統的な中国緑茶のひとつ。漢代から作られ、宋代には皇帝への献上茶となった。もとは野生茶だったものを東林寺の僧侶・彗遠が栽培を始めたと言われている。
主な産地は江西省九江市廬山。簡体字での表記は「庐山云雾」